日本を含む世界では、最早メジャーとのなった出会いの場「マッチングアプリ」。マッチングアプリで出会い、結婚するカップルも今や珍しくはありません。
そんなご時世ですが、私の住む「インド」では、実は今も恋愛結婚を果たす人は結婚人口の約1割と、非常にマイナー。
そんな国インドのマッチングアプリ市場が気になったので、調べてみました。
インドのマッチングアプリ市場を調べようと思ったきっかけ
そもそもなんでインドのマッチングアプリに興味を持ったかというと、理由はズバリYouTube広告です。
YouTubeを見ていたら、最近本当によく出てくるマッチングアプリ(これはOkCupid India)の広告動画。
YouTubeを見ていると度々出てきた&このアカウントを見てみると再生回数にかなりのバラツキがあるので、気合入れた動画はYouTube広告として力を入れて出稿しているみたいです。
しかしながら、インドではお見合い結婚の方がメジャー。
全世界的に流行っているマッチングアプリとは言えど、インド市場で受け入れられるのか?と気になり調べてみることにしました。
インドのマッチングアプリ
現在インドで使用できる、メジャーどころのマッチングアプリを紹介していきます。
tinder(2013年)
世界で一番有名なマッチングアプリと言っても過言ではない、アメリカ発のTinder。インドでマッチングアプリとしての知名度はNo.1のようです。
そんなTinderのインド進出は意外と早く、2013年とのことです。
有料バージョンもあるみたいですが、無料でも十分使えるらしいです。
Bumble(2018年)
Tinderと同じくアメリカ発のマッチングアプリ、Bumble。基本的な使い方はtinderと同じようですが、Bumbleの特徴はマッチング後、女性からしかメッセージを送れないそうです。
しかも、マッチング後24時間以内にメッセージを送る&24時間以内に返信が来ないと、マッチングがきれいさっぱり消えてしまう仕様。マッチしたけど、放置プレイというのはこのアプリでは通用しないということですね。
もう1つの特徴は、Bumbleに関しては恋人探しだけでなくて、お友達探し(深い意味でない方)もできます。
インドではローンチ当初はiOSでしか使用できなかったみたいですが、2021年現在はAndroid版もありました。
ちなみに、インドの女優さんプリヤンカ・チョープラーさんはこの会社に投資しているようです。
TrulyMadly(2014年)
こちらはインド発のマッチングアプリ。プライバシーに定評があるようで、マッチするまで名前が見えないようになっていたり、アプリからスクショが取れないようになっていたりと、工夫がされているようです。
身分確認も確りしているようで、認証が取れたもの(電話番号認証や身分証明書など)の数で、プロフィールの信用性に点数が付きます。
この辺りはさすがKYC文化のインドだなと感じますね。
TrulyMadlyのもう1つの特徴は、マッチした時に「なんて話していいか分からない…」を解消するために、アイスブレーク質問リストがあることです。恥ずかしがり屋さんにぴったりのファンクション。
マイナス点として、広告が多すぎるとの声もありました。
Hinge(2014年)
Hingeの特徴は他のマッチングアプリにある「スワイプ」機能でマッチングする訳ではなく、自分がいいね!した人のリストと、いいね!をしてくれた人のリストを見ることができます。
Hingeでは基本的なプロフィールに加え、選択の上で「お酒を飲むか」「タバコを吸うか」「将来子供が欲しいか」、また信仰する宗教や政治に対する考えなども追加することができ、こだわりがある場合は、事前にスクリーニングをかけることができます。
また、写真だけでなく動画が追加できるのもユニークなところ。
メッセージの受信箱には「どちらが返信するターンか」というボタンがあり、タスク管理的な機能がついているの面白いですね。
デメリットとしては、名前がフルネームで開示されてしまうので、プライバシーがちょっと心配な面があります。
happen(2016年)
フランス発のhappenは、実際にすれ違った人が表示されるマッチングアプリです。何回すれ違ったか、どこですれ違ったかが表示されます。
他のマッチングアプリと違う点は、ボイスメッセージが送れる点。
また特別な反応を届けるStand Out機能です。Stand Outを使用すると、通常の受信箱とは違った専用の受信箱が作成されるので、いいなと思った相手に「特別感」を届けられます。
気になる相手のプロフィールを開いた後の「ウィンドウを閉じる」が押しずらいなど、インターフェイスがイケてなく、使いづらいらしい。
OkCupid(2018)
とにかく沢山の質問項目があり、プロフィールの完成度が高いのが良いポイントだそうです。
他のマッチングアプリにない特徴として、その人とのマッチ率がプロフィールとともに表示されます。
その他は特に他のマッチングアプリと大きく異なる点はないようです。
インドのマッチングアプリのマーケティング
マーケティングに関しては、どのマッチングアプリもInstagramに力を入れている様子です(各投稿でいいねの数が極端に違う=いくつかの投稿に広告としてブーストしている可能性が高いため)。
インドでは、いわゆる「映える」写真を撮れるような場所に行くのは、一部のセレブ層。
インスタグラムは「インドのお金持ちで西洋文化もOKといった、比較的に保守的ではない人が多く集まるメディア」と考えられるため、インスタグラムに広告予算を寄せている可能性がありそうです。
続いて私がこの記事を書くきっかけになったYouTubeですが、これはマッチングアプリによってばらつきがありました。
YouTubeの動画を出しているマッチングアプリに関しては、女性側の視点に立ったコンテンツが多く感じられました。
また、内容としては女性が本音を話す、といったような女性の社会的地位の確立を応援しているような内容の動画やセックス関する内容など、まだインドでは一部でしかオープンに話さないようなコンテンツが多い印象です。
Webサイトに関しては、基本的にはグローバルサイトを利用している模様。
確かにWebサイトへの流入が目的ではないので納得です。Webサイトにはアクセスできるようにして置き、プレス対応やメディアキット配布など、ビジネス対応の役割を果たしています。
私はここ最近、この記事を書くためにインドのマッチングアプリについて永久にネットサーフィンをしていたのですが、これだけ検索していてもGoogleの検索広告も、なんとディスプレイ広告にも追いかけまわされることがありませんでした。
ディスプレイ広告が出てこないのはちょっと意外でしたが、広告予算はハイソサエティが使用するインスタ等のSNSとYouTubeに寄せている潔さがありそうです。
インドでのマッチングアプリ市場は、やはりtinderが作った?
ハイソサエティ狙いのためかサイトはの言語は英語でしたが、tinderのみヒンディー語やタミル語、テルグ語などのリージョナル言語が選択できました。
そんなtinderの細やかな頑張りもあってか、インドでのマッチングアプリに関するGoogleトレンドはこんな風に変遷しています。
まさに「tinderの頑張りが、インドのマッチングアプリ市場を作っていった」と言わんばかりの動きで、非常に面白いですね!
tinder1人勝ちかと思いきや
Googleトレンドの検索ボリュームからみても、インドではtinderの一強なのかな?と思ったのですが、そういう訳でもないのかもしれないです。
インドでは約95%がAndroidユーザーです。ここでインドAndroidユーザーの、マッチングアプリのランキングデータを見てみましょう。
出典:Similar Web
なんどAndroid分野での1位はBumbleでした。
tinderはアウェアネスとしては1番なのかもしれませんが、実際のインストールで言うとBumbleが優位といった状況のようです。
リージョナル言語を取り入れているtinderこそ、Androidのアプリのランキングで上位に入っていないといけないような気もします…。
インドでは15,000円程度から買えるAndroidのスマホが沢山あり、また関税が非常に高いため、輸入品となるiphoneは、完全なるお金持ちの嗜好品。
ということは、各社がターゲティングしているインスタ利用層≒iOSユーザーのため、もしかしたらiOSではtinderが1位だったりするのか…?
iOSのランキングも見てみないと真偽のほどは定かではありませんが、残念ながらiOSのマッチングアプリのランキングデータは取得できませんでした。
インドでBumbleの方が流行っているっぽいのは何故?
インドのカップルYouTuberが色んなマッチングアプリを紹介している動画を見てみたりしたのですが、マッチングアプリのランキング付けで1位だったのは、ここでもBumble。
Bumbleは、インドで何と4百万人がダウンロードしているアプリです。
なんでBumbleがそんなに強いのか…。
考察①「タスク化」されているから話が早い
Bumbleの特徴は、上述のアプリ紹介でも記したように、何と言っての24時間以内に返信しなくてはいけないタイムリミットがあることです。
マッチングアプリは「人との出会い」を求める明確なツールなので、出会えなければ意味がない!
とは言っても仕事でもないので、タイムマネジメント的な考えはほとんどの方になさそう。
そこで24時間という期限を設けることで、対応せざるを得ない環境を作っていることが逆に良いのかなと感じました。
考察②心地よい”Excuse”機能が多いのでは
恋愛に非常にオープンな女性もいますが、照れや恥じらいがあるのは万国共通ではないかな、と思います。あまりにも積極的だと「勘違い」をされてしまうリスクもあるし、そもそもやっぱりインドのレディーもシャイな方が多いのでは?
Bumbleは他のマッチングアプリと違い、シャイな女性にとって恥じらいから来る非積極性を排除させてくれる、素敵な言い訳ポイントがところどころに織り込まれているように感じました。
そのポイント3つを以下にまとめていきます。
返信タイムリミット
まずは、さっきも出てきた24時間以内の返信タイムリミット。
あんまり即レスすると、がっついているように思われてしまうかな…?という控えめな性格な方でも、「タイムリミットがあるから早くしなきゃ!と思って返信しているだけだもん」というかわいいExcuseが使えます。
コンタクトの開始が女性からしかできない
次に、メッセージの始まりが女性からしか始められない点ですね。
何となく、待っちゃう女子って多いと思いますが、Bumbleは女性が行動を起こさないとには何も始まらないので「私たちがやるしかない!」のです。
ここまでの2点は、選択肢を与えないことで行動を促しているという商品特性のようです。
ちなみにこの機能は、「変な人」を排除するのにも役立っているのではないかと考えます。
女性からテキストを送ることで、男性は言わずとも「あなたは好印象ですよ」というメッセージを受け取ることになるので、悪い気はしないはずです。
女性からの好意が先行することで、相手もそんなに変なことしなくなる作用があるのでは?と感じました。
「友達探し」で使用しても良い点
Bumbleでは恋人だけでなく、友達探し”Bumble BFF”という機能があります(Friends With Benefits的なお友達ではなく、普通のお友達です)。
Bumbleは24時間以内の返信タイムラインがある以上、アプリの通知を切ることはディスアドバンテージになります。
ただ、普段スマホを使っていてBumbleからプッシュ通知が来て、友達の目に入るのはちょっと恥ずかしい…という女性もいるとすると、「いやいや、友達探してるんだよー」というExcuseが使えるのはありなんじゃないかな、と思いました!(考えすぎ?)
tinderの敗因はインドで「も」?
これは世界的にtinderというマッチングアプリがもたれている印象だと思いますが「tinderには真剣に恋愛をしに来ている人がいない」。
この記事を書くにあたりインドのマッチングアプリについて書かれた記事を読んだり、YouTubeを見たりしました。
マッチングアプリの紹介の記事等の中で他のマッチングアプリが”Casual Dating”等に分類されている中、tinderの分類はなんと”hookup”。
とある記事には、こんな風に書いてありました。
Tinder, users largely believe that Tinder is a great place to find sex, but not much else. There isn’t much space to talk about who you are, and the app heavily relies on visuals — you can add up to 10 pictures.
出典:The Print
まとめ
今回はYouTube広告で目に留まった動画をきっかけに、インドのマッチングアプリについて調査してみました。
どこにもニーズがなさそうな記事ですが(笑)、突然気になったインドのマッチングアプリについて存分に調べることができ、大人の自由研究としては大満足です!
こんなとてつもないニッチな記事にお付き合い頂き、ありがとうございました!
ちなみに、tinderでは”Year In Swipe“というレポートを出しているようなのですが、これがまた興味深い!インドのtinderでは「火曜日の21時」が最も右スワイプに持って来いの時間だったそう。
また、マッチ率は地域によっても差があるそうで、デリーのSaket・バンガロールのkoramangala・ムンバイのAndheri Westは注目の地です。
このレポートは、これからのインドのトレンドを反映していく結構大事なレポートになるかもしれないですね!
この記事が面白かった!という方は、こちらの記事もオススメです!
「マーケティングをコンパクトに学ぶ」をコンセプトにした、SNSを始めました!良かったら是非覗いてみて下さいね!
この投稿をInstagramで見る
この投稿をInstagramで見る
この投稿をInstagramで見る